【勉強会】第2回安藤昌益読書会(@「そばカフェ風庵」in南三陸町入谷)

■開催要項

勉強会名:第2回安藤昌益読書会(仮称)
日時  :2020年02月20日(木)
会場  :宮城県本吉郡南三陸町入谷「そばカフェ風庵」
テキスト:安藤昌益 稿本『自然真営道』第一 私制字書巻一「自然ノ世ノ論」

※「自然ノ世ノ論」の原文資料閲覧は『自然真営道』を貯蔵している東京大学付属図書館の資料公開ページをご利用ください。

 南三陸で有機農業・療養所・そばカフェを営んでいる方々と小人数読書会を行いました。第2回は安藤昌益(1703~1762)のテキスト「自然ノ世ノ論」をそれぞれ独自の皮膚感覚で超訳し、話し合うという会でした。以下に読書会に参加されていた片岡龍先生の超訳を掲載いたします。



安藤昌益「自然ノ世ノ論」超訳

片岡龍

ほんとうの世界について 

ほんとうの世界では、地球の循環とともに人間の営みも行われ、循環する地球とともに相対的な時間(カイロス)だけが流れている。

相対的な時間とは?

ー地球が春になると、万物が生じ、花が咲き、
 地球が夏になると、万物が育ち、緑あふれ、
 地球が秋になれば、万物は堅く、引き締まり、
 地球が冬になれば、万物は枯れ、地下に潜る、
そして、また春となり、夏となり、秋になり、冬になり、春となり・・・・・・
永遠につづく瞬間。

その永遠につづく瞬間のなかで、人間の営みも行われる。いや、そのように営むからこそ、永遠につづく瞬間だけの世界が、見え、聞こえ、匂ってくる。

ー地球が春となる永遠とともに、田畑を耕したくさんの種子を播き、
 地球が夏となる永遠とともに、雑草を抜きたくさんの穀類を育み、
 地球が秋になる永遠とともに、たくさんの穀類を実らせ刈り取り、
 地球が冬になる永遠とともに、殻を落とした実を貯蔵し食い次ぐ、
そして、また春、夏、秋、冬、春・・・・・・始まりも終わりもない、永遠の世界。地球と人間のいのちが無限に響き合う、ほんとうの世界。

地球も自分のいのちを生きている。人間も自分のいのちを生きている。
だから、いのちといのちが響き合うほんとうの世界は、曇らない五感を通して現れる。

人間の生死は、穀類が実って枯れ、枯れて実るのと同じサイクル。
生まれれば人間(男女)、死ねば地球(転定)、生まれれば地球、死ねば人間・・・・・・

一つの大きないのち、その中で往還を繰り返す、無数の小さないのちの群れ。
それが、ほんとうの世界の、変わることない、いのちの河。

 2019年秋、青森県立美術館の展覧会(「青森EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来」)で、大小島真木+アグロス・アートプロジェクト《明日の収穫》と一緒に壁面を飾った安藤昌益「自然の世の論」<撮影:奥脇嵩大 提供:青森県立美術館>