研究会について

・「実学」とは? 

韓国 瑞山 開心寺

本会の英語名称のうち‘TRUE AND REAL LEARNING’の部分が、「実学」に相当します。つまり、本会における「実学」とは、真実(誠実)かつ現実(実在)を追究する学問を意味しています。

どちらの場合も‘真理’の追求をめざす点で変わりはありませんが、前者(true)の場合は人文科学的、後者(real)の場合は自然・社会科学的なアプローチにそれぞれ重点があります。前者を「実心」、後者を狭義の「実学」とすれば、「実心実学」の四字にもなります。

「脱真実」(post-truth)の時代とも言われる今日、わたしたちは新たな真実(truth)と現実(reality)の構築をめざして活動しています。「自分たちの生き方を思想化し、自然と社会に責任をもつ学問」(会則第一条)こそ、わたしたちの「実学」の定義です。

・日中韓の「実学」思想研究の歩み

日本では狭義の「実学(=科学技術)」史の研究は比較的早くからありましたが、「実学」思想史の研究が最も盛んだったのは韓国・北朝鮮で、100年近い歴史をもっています。

日本における「実学」思想の研究は1960年前後に始まり、80~90年代ころに最も盛んとなります。その成果としては、本会の立上げに関わった源了圓(東北大学名誉教授、日本学士院会員)著、『実学思想の系譜』(1986)、初代会長である小川晴久(東京大学名誉教授)著、『朝鮮実学と日本』(1994)があります。

90年ころからは中国も加わり、以来、日中韓三国の民間学術交流を現在まで30年にわたって継続しています。その成果としては、隔年ごとに日本・韓国・中国で舞台を移して開催される国際シンポジウムの各報告集、また三国同時発刊の『日中韓思想家ハンドブック』(2015)があります。