【会員の図書】柳生真『日本と韓国、哲学で繋ぐ』(モシヌンサラムドゥル、2022.10.10)

タイトル:『日本と韓国、哲学で繋ぐ』
原 題 :『한국과 일본, 철학으로 잇다』
刊行日 :2022年10月10日
著 者 :柳生真
ページ :384頁
出版社 :図書出版モシヌンサラムドゥル(도서출판 모시는사람들)
ISBN :979-11-6629-140-1 (93150)

内容紹介
本書は韓国と日本の共通した主要哲学的テーマを比較することで、各国の哲学的特徴を理解し、その類似性と違いがどのような歴史的、地理的脈絡の中で形成されてきたのかを考察したものである。韓国と日本の哲学の親延性とともに、相互交流を通じた哲学的成熟の過程を理解することで、違いの中で類似性を、類似性の中で根源的な違いを読み取り、哲学的眼目を一段階高めていく。著者は日本人として日本-中国-韓国でそれぞれ短くない期間の学問的研鑽過程を経てきており、これを通じて東アジア三国の哲学をマクロ的に洞察できる目を育ててきた。本書は日本-中国を経て韓国に6年間滞在し、定着してきた日韓哲学比較作業の研究成果を盛り込んでおり、哲学的対話として日韓両国を結んでいる。

(出版社紹介文より)

【会員の図書】小倉紀蔵『弱いニーチェ:ニヒリズムからアニマシーへ』(筑摩書房、2022.9.16)

タイトル:『弱いニーチェ:ニヒリズムからアニマシーへ』
刊行日 :2022年09月16日
著 者 :小倉紀蔵
ページ :304頁
出版社 :筑摩書房
ISBN :978-4-480-01756-7

内容紹介
ニーチェの言う「超人」は、弱い人間だった。世界哲学の視点からニーチェを読み直して見えてくる生命力あふれる人間像に混迷の時代を生き抜く新しい力を見出す。(出版社紹介文より)


【会員の図書】金鳳珍『安重根と日本、日本人』(ソウル:知識産業社、2022.3.25)

タイトル:『安重根と日本、日本人』
原題  :『안중근과 일본, 일본인』
刊行日 :2022年03月25日
著 者 :金鳳珍(김봉진)
ページ :292頁
出版社 :知識産業社(지식산업사)
ISBN :978-89-423-9105-9(93910)

内容紹介
 「韓国人安応七所懐」によると、東洋平和とは近代文明の侵略主義を止揚する共生、儒教の徳/力である。したがって、安重根の殉国は「真実を覆ってしまう」日本の無道徳/理欠に対する徳の制裁、審判だった。著者は日本論理の虚偽(propaganda)vs。東洋平和の真正性を対照させることで、安重根の思想がどのように今の歴史の戦争を終息させることができるかを明らかに示している。ロシアのウクライナ侵略が行われているこの時、「歴史和解」の東洋平和論は、私たちだけではなく、世界の人々が持ち上げなければならない炬火になるだろう。

(書評/著者からの一言より)

 また本書は2019年12月、仙台での第15回<東アジア実学>国際フォーラムでの金鳳珍先生のご発表と、それをもとにしたご論稿「東アジアの「儒教的近代」と日本の「兵学的近代」」(『自然と実学』第5号、2020.4)ともつながる内容と思います。どうぞご参照ください。

関連資料
第15回<東アジア実学>国際フォーラム
『自然と実学』第5号
聯合ニュース 新刊案内(韓国語)

【会員の図書】小倉紀蔵『韓国の行動原理』

タイトル:『韓国の行動原理』
刊行日 :2021年07月15日
著 者 :小倉 紀蔵
ページ :221頁
出版社 :PHP研究所
ISBN :978-4-569-84998-0

内容紹介
 なぜ、法や条約よりも道徳を重視するのか。朱子学や「東学」、王朝の伝統などの背景を知れば、韓国の「いま」が読み解ける。

出版社解説
 日韓請求権協定に関わる報道に接して、韓国人の法意識に疑問を持つ人は少なくない。
 著者は韓国は法よりも道徳にこだわる国だと説く。朱子学の影響で、韓国では道徳は敵を叩き潰すための武器になっている。また、韓国の前近代が王朝であり、日本の前近代が封建社会であったことの違いも大きいといえる。
 道徳にこだわる社会であるために、民主主義という概念に対する捉え方も、日本と韓国では異なる。韓国における民主主義は、「道徳的社会を実現する」ためのシステムと見なされている。ただし「法を軽視する韓国の民主主義はレベルが低い」と考えるのは危険である。韓国の法曹的能力は高く、「法」に関する世界の最先端のトレンドに敏感である。その一方で、著者は韓国を国家と思わず、一つの「運動団体」と捉えたほうがよいと説く。
 韓国の実像は、日本ではまだまだ知られていない。韓国を知悉する東アジア思想研究者が、この国を理解するための視座を提供する一冊である。

(出版局ページより)

参考資料
・山本恭司編「開新実学事始め2」(2021.9.30) PDF

【会員の図書】『東アジアの尊厳概念』

タイトル:『東アジアの尊厳概念』
刊行日 :2021年03月26日
編著者 :加藤 泰史:編, 小倉 紀蔵:編, 小島 毅:編
ページ :550頁
出版社 :法政大学出版局
ISBN :978-4-588-15116-3 C1010

内容紹介
 欧米圏の尊厳理解を「普遍的」と見做し、非欧米圏が一方向的にそれを受容するという図式に対して、日本・中国・韓国を中心に、東アジアから見直す。生命、伝統、仏教、儒教、人権、公共、歴史認識、そして人間へ。「尊厳」という言葉の意味が持つ差異性と同一性に多角的な焦点を当て、尊厳概念そのものを多元化して、相互理解への道を開く。関連文献の読書案内も付す。

目 次
編者前書き 「東アジアの尊厳概念」研究の構築に向けて(加藤泰史)

第Ⅰ部 日本関係編
第1章 バイオエシックスと生命倫理学の間──医学者の「尊厳」理解(加藤泰史)
第2章 野間宏文学における「弱者の生」から逆照射される「尊厳」(ギブソン松井佳子)
第3章 如空の衆生を度す──仏教における人間の尊厳と個の尊重(前川健一)
第4章 林羅山における自由と身分秩序──『性理字義諺解』に着目して(武田祐樹)
第5章 人間の尊厳と「極東の偉大な諸宗教」──ヨーロッパの人間観に対するルソーの異議申立て(松田純)

◎読書案内コラム
1 蟻川恒正『尊厳と身分──憲法的思惟と「日本」という問題』(池田弘乃)
2 宮下紘『プライバシー権の復権──自由と尊厳の衝突』(品川哲彦)
3 島田陽一・三成美保・米津孝司・菅野淑子=編『「尊厳ある社会」に向けた法の貢献──社会法とジェンダー法の協働』(池田弘乃)

第Ⅱ部 中国関係編
第1章 現代新儒家牟宗三のカント理解(小島毅)
第2章 中国憲法史における尊厳概念──その背後にある政治思想(中村元哉)
第3章 求むれば則ち之を得、舎つれば則ち之を失ふ──人間の尊厳に対する儒教の立場からの考究姿勢について(倪培民/中澤武 訳)
第4章 中国の伝統における人権(スティーブン・C・アングル/齋藤元紀 訳)
第5章 儒教的な人間の尊厳に向けて(王小偉/陳健成 訳)
第6章 人間の尊厳の儒教的概念(李亜明/高畑祐人 訳)
第7章 台湾の終末期医療の法制化における尊厳概念の変遷──家族代理決定から自己決定権への道(鍾宜錚)

◎読書案内コラム
4 有馬斉『死ぬ権利はあるか──安楽死、尊厳死、自殺幇助の是非と命の価値』(香川知晶)
5 里村佳子『尊厳ある介護──「根拠あるケア」が認知症介護を変える』(小林道太郎)
6 スウェーデン社会庁『人間としての尊厳──ノーマライゼーションの原点・知的障害者とどうつきあうか (第二版)』(徳地真弥)
7 岸邦和『「人間の尊厳」を考えるための練習問題』(高畑祐人)

第Ⅲ部 朝鮮(韓国)関係編
第1章 暴力としての歴史認識(小倉紀蔵)
第2章 韓国で人間尊厳性概念の開新を目指して公共哲学する──独話的概念創出から対話的概念開新への試み(金泰昌)
第3章 社会的生命力の源泉としての尊厳──安重根『東洋平和論』を手がかりに(片岡龍)
第4章 三魂論について──西洋哲学と朝鮮儒教の出会い(金光来)

◎読書案内コラム
8 旻子『尊厳──半世紀を歩いた「花岡事件」』(宇佐美公生)
9 陶徳民『西教東漸と中日事情──拝礼・尊厳・信念をめぐる文化交渉』(武田祐樹)
10 フランシス・フクヤマ『IDENTITY──尊厳の欲求と憤りの政治』(岩佐宣明)
11 デルフィン・ヒラスナ『尊厳の芸術──強制収容所で紡がれた日本の心』(成瀬翔)
12 ヨハン・セルス+チャールズ・E・マクジルトン『人間としての尊厳を守るために──国際人道支援と食のセーフティネットの構築』(徳地真弥)
13 加藤泰史・小島毅 編『尊厳と社会(上・下)』(徳地真弥)

編者後書き 人間概念の改変に向けて(小倉紀蔵)

執筆者・訳者紹介

(出版局ページより)

【会員の図書】『我々はどこへ向かうべきか―コロナ時代を生き抜く地球市民こころ白書—』

タイトル:『我々はどこへ向かうべきか
      ―コロナ時代を生き抜く地球市民こころ白書—』
原題  :『우리는 어디로 가야 하는가
      ―코로나 시대를 살아가는 지구시민 마음백서―』
刊行日 :2020年10月25日
ページ :368頁
企画者 :モシヌンサラムドゥル哲学スタジオ(趙晟桓 ほか)
出版社 :図書出版モシヌンサラムドゥル(도서출판 모시는사람들
ISBN :979-11-6629-005-3 (03300)

 コロナ時代を迎えコロナ19に関する本が溢れかえっている。その多くの書籍のなかで本書が持つ特徴を一つ挙げると「省察」であると言えよう。コロナ19が我々に語らんとしているのは何か、そして我々はこの先どうすべきなのかについて考える時間を設けたかった。特に第5部では「青年の声」を込め、未来世代の考えと悩みを傾聴する場をつくった。彼等こそこの先人類と地球の未来を担っていく「地球世代」だからである。

(巻頭言より)

・趙晟桓「プロローグ:COVID-19が語りかけるもの」(日本語PDF
・もくじ(日本語PDF

・片岡龍「だれがどんなニューノーマルを‘先導’するのか?」(日本語PDF
・佐々木隼相「科学者は何を伝えているのか?」(日本語PDF
・楊世帆「コロナに立ち向かう際に、
      人々はなぜ憎しみ合うか」(日本語PDF
・崔多蔚「心の霊性とは何か―繋がり、合一、区分の
      霊性の提案と霊性的免疫力について」
※上4つの原稿は投稿時のもので、実際の掲載された文章(韓国語)では表現や注などが修正されている可能性があります。

【会員の図書】小倉紀蔵『群島の文明と大陸の文明』

タイトル:『群島の文明と大陸の文明』
刊行日 :2020年10月15日
編著者名:小倉紀蔵(著)
出版社 :PHP研究所
ISBN :978-4-569-84754-2

詳細:日本は群島の文明である。それは帰納的(反演繹的)思考、経験主義(反理念・反理性主義)、そして反超越主義などによって規定される。日本に特殊なものではなく、これらの特徴を欧州で最も強く持っているのはイギリスである。

 群島文明は、大陸の文明を移入しながら、それを島の力で相対化・分解しつつ、風土や文化に合わせて再構成する。さらに日本における群島文明は、「もののあはれ」や「美」という感覚を非常に重視する。

 大陸文明は、普遍主義・理念主義・本質主義・超越主義などを基盤とせざるをえない傾向を持つ。政権を維持するためにもそれを打倒するためにも、超越的な神・理念・価値を必要とする。日本が理念性・超越性に自己を同一化させてしまうと、戦前のような全体主義となる。

 東アジア文明の理解のために、必読の一冊!

(出版社解説文より)

書評

大橋健二「(書評)小倉紀蔵著『群島の文明と大陸の文明』」(『未来共創新聞』42、2021.3.31):PDF

【会員の図書】松川雅信『儒教儀礼と近世日本社会―闇斎学派の『家礼』実践』

タイトル:『儒教儀礼と近世日本社会―闇斎学派の『家礼』実践』
刊行日 :2020年07月31日
編著者名:松川雅信(著)
出版社 :勉誠出版
ISBN :978-4-585-21056-6

詳細 :「近世日本にとって儒教儀礼とは何であったのか―」
科挙のような儒教的制度を有さない他方、仏教によって葬儀や祭祀が主導されていた近世日本社会。そうした社会を生きる儒者達は、儒教儀礼、殊に東アジアで絶大な影響力を誇った『家礼』記載の喪祭礼を、どのように捉え、そしていかにして実践しようと試みていたのか。
長期間にわたってこの問題と真摯に向き合い続けた、山崎闇斎を学祖とする闇斎学派に着目、思想と社会とが様々に交錯する現場に立ち入ることで、これまで見落とされてきた近世日本儒教の新しい一面を照らし出す。  (出版社紹介文より)

【会員の図書】『世界はなぜ韓国に注目するのか—韓国社会COVID-19市民白書—』

タイトル:『世界はなぜ韓国に注目するのか
       —韓国社会COVID-19市民白書—』
原題  :『세계는 왜 한국에 주목하는가 -한국사회 COVID-19 시민백서-』
刊行日 :2020年04月30日
企画者 :モシヌンサラムドゥル哲学スタジオ(趙晟桓 ほか)
出版社 :図書出版モシヌンサラムドゥル(도서출판 모시는사람들

 この本は、コロナ19によって惹きおこされた「ニューノーマル(新常態)」にたいする20篇の診断書である。この診断作業に参加した著者は、20代の大学生から50代の平和運動家にいたるまで、多様な世代にわたっている。発信地も韓国をはじめ、日本・中国・スペインなど各国に跨がり、内容はコールセンター労働者の生から近代文明の診断にいたるまで幅ひろい。分野も多彩で、政治をはじめ、メディア・医療・モラル・宗教・映画・哲学などを網羅している。その意味で、「コロナ19地球市民白書」ないしは「コロナ19地球人文学」と言える。したがって、この本は読者に、コロナ19にたいする包括的かつ深みのある情報と分析を提供すると信じる。

(巻頭言<企画者のことば>より)

・趙晟桓「地球人の眼で見たコロナ19」巻頭言(日本語版韓国語版
・目次(韓国語版
・報道資料―「韓国社会COVID19市民白書」(日本語版韓国語版

【会員の図書】片岡龍『16世紀後半から19世紀はじめの朝鮮・日本・琉球における〈朱子学〉遷移の諸相』

タイトル:『16世紀後半から19世紀はじめの朝鮮・日本・琉球における
      〈朱子学〉遷移の諸相』
刊行日 :2020年02月
編著者名:片岡龍(著)
出版社 :春風社
装丁  :長田年伸
ISBN : 978-4-861-10681-1

要旨:仁斎にとっての「学問」とは、世界の見え方を刷新させるものである。そして、そのような「学問」の道を開いたのが孔子であった。(本文より)
西洋近代由来の学術概念を超え、時代時代のさまざまな地域の思想家の思想的営為を丹念に読み解き、思想潮流の大きな変化を跡づける。(春風社紹介文より)

■目次

まえがき―書名について―
第1章 序論 朱子学の遷移過程
第2章 李退渓(1501-70)の「心は神明の舎」観
第3章 李退渓の「理発」「理動」「理到」
第4章 退渓門下から旅軒・張顕光(1554-1637)にいたる「公共」
第5章 藤原惺窩(1561-1619)とその周辺の「天道」観
第6章 中江藤樹(1608-48)の「神理」と〈朱子学〉
第7章 伊藤仁斎(1627-1705)における‘心性’と‘経世’
第8章 荻生徂徠(1666-1728)の「天命」説と「修辞」論
第9章 蔡温(1681-1761)における「心学」と「実学」
第10章 大田錦城(1765-1825)と丁茶山(1762-1836)における‘生命’と‘霊性’
第11章 結論
あとがき