【会員の図書】鈴木規夫・平石耕 編著『政治批判の原理を求めて:政治思想における日本・西欧・アジア』(国際書院、2025.10)

タイトル:『政治批判の原理を求めて:政治思想における日本・西欧・アジア』
刊行日 :2025.10.10
編 著 :鈴木規夫・平石耕
ページ :499
出版社 :国際書院
ISBN :978-4-87791-337-3

内容紹介

いま改めて政治批判の原理を、政治思想における足跡を世界の思想史的潮流に求めて検証する。本書ではジョン・ダンが「日本への恩義とそれを可能にしてくれた友人たち」を寄せ、盟友加藤節が一文を寄せている。

(出版社紹介文より)

【会員の図書】朴奎泰『ハンともののあはれ』(而學社、2024.3)

タイトル:『ハンともののあはれ(한과 모노노아와레 :한일 미의식 산책)』 ※販売サイト
刊行日 :2024.3.15
編 著 :朴奎泰
ページ :786
出版社 :而學社
ISBN :978-8-96147-442-9

内容紹介

・「ハン」はどのように韓国の美意識として位置づけられたのか?
・日本人はなぜ作為的な美を、自然よりもっと自然だと考えるのか?
・さあ、日韓美意識の散策路へと足を踏み入れよう

 美には両面性がある。自然な美があるかと思えば、作為的な美もある。韓国人にとって自然は、古くから日常の中に溶け込み、日常と一体となっていた。例えば伝統的な韓屋では、内と外の境界が明確ではない。床の間はそのまま庭へと繋がり、部屋の中でも扉開さえ開ければ、低い垣根の向こうに外の山野がそのまま見渡せる。自由奔放でシンプルな粉青沙器の文様、あるいは非対称にひずみんだ平凡な白磁の壺の形態は、最初から人工的な完成の美学とは無関係に見える。
 一方、日本人は常に自然のままの美を愛すると言いながらも、石と砂で水を表現する石庭から大自然を想像することを好む。日本の茶人は茶器の取っ手一つをわざと外し、そこに侘び(不完全なものに美を見出そうとする美意識)の美を鑑賞し、日本の陶工たちは日本的な陶磁器を創出するために意図的に器を歪んだ形で作り出す。こうした人工的な努力は強迫的に極めて繊細に行われる。手を加えて整え加工したものを、より自然な美と考えるのである。なぜだろうか?これが本書の最も核心的な問いの一つである。何を自然と見なすかの違いこそが、日韓の美意識における最大の差異を構成しているのだ。

(本文より)

【会員の図書】オーウェン・マシューズ(鈴木規夫・加藤哲郎訳)『ゾルゲ伝:スターリンのマスター・エージェント』(みすず書房、2023.5)

タイトル:『ゾルゲ伝:スターリンのマスター・エージェント』
シリーズ:新資料が語るゾルゲ事件2
刊行日 :2023.5.10
著 者 :オーウェン・マシューズ(鈴木規夫・加藤哲郎訳)
ページ :552
出版社 :みすず書房
ISBN :978-4-622-09548-4

内容紹介

 スパイ小説の母国イギリス発、欧米圏でベストセラーになった稀代のスパイの伝記である。英独日露の新資料を駆使して、歴史的事実だけでなくリヒアルト・ゾルゲと彼をめぐる多くの人々の人間性にも迫る。
 第一次世界大戦でドイツ軍に志願入隊、三度負傷したゾルゲは、病院のベッドの上でこの戦争の原因について考えた。除隊後、共産党に入党し、炭坑で活動しながらドイツ革命に加わり、コミンテルンからリクルートされる。
 赤軍参謀本部情報本部の諜報員として上海をへて1933年東京へ。駐日ドイツ大使オットの親友のジャーナリストとして大使館内にデスクを持ち、同時に元朝日新聞記者・近衛内閣嘱託の尾崎秀実を中心にした日本人諜報網を形成。ゾルゲは日独の最重要機密を入手しては、モスクワに打電した。
 機密情報を携え満州に亡命したソ連秘密警察幹部。第二次世界大戦の結末に大きく影響したノモンハン事件。ドイツのソ連侵攻の裏で、ソ連もドイツ侵攻を計画していた雷雨作戦… 本書では、ゾルゲを基点に日本・ソ連・ドイツの関係が交錯する。一方でゾルゲ諜報団は、日米戦争が不可避であるという分析を開戦の三か月前に導き出していた。
 刑場に消える瞬間まで、自然で自発的にふるまうゾルゲには男も女も惹きつけられた。優秀な分析家、クールな嘘つき、大酒のみの女たらし。彼はいったい何に殉じたのだろうか? ゾルゲの成功と孤独は、各自がそれぞれの情報戦を生きる現代人にも示唆に富むだろう。

(出版社紹介文より)

【会員の図書】澤井啓一『荻生徂徠の世界』(ぺりかん社、2025.9)

タイトル:『荻生徂徠の世界』
刊行日 :2025.9.10
著 者 :澤井啓一
ページ :352
出版社 :ぺりかん社
ISBN :978-4-8315-1704-3

内容紹介

江戸中期を代表する儒者であり、後に日本近世を通じて独創的で偉大な思想家と評される荻生徂徠。「古文辞学」を習得し「徂徠学」と呼ばれる政治論を唱えたが、病や境遇の変化に伴うあまり幸運とはいえない生涯をおくった。その没後門人たちのの努力により清代中国、朝鮮王朝の儒者たちにまで名声が拡がっていきその思想は「近代化」の先駆と評価されることになる。本書は、半世紀に亘る著者の徂徠研究の成果を伝記から方法論、経書注釈作業、門人による徂徠学の継承と展開、徂徠自身の「日本の外」への眼差し等を思想史的に描出、分析した徂徠入門書。

(出版社紹介文より)

【会員の図書】小倉紀蔵『日本群島文明史』(ちくま新書、2025.6)

タイトル:『日本群島文明史』
刊行日 :2025.6.9
著 者 :小倉紀蔵
ページ :512
出版社 :筑摩書房
ISBN :978-4-480-07695-3

内容紹介

「文明」概念で
この国を総合的に理解する
画期的な知的世界全図

日本は群島であり、日本文明は群島文明である。大陸文明的な実体系思考よりも群島文明的な非実体系思考が優勢で、そうした世界観から生命は偶発的なものという感覚や共同主観の構造、革新性をもたらす美意識などが展開され、日本文明が創り出されてきたのだ。そうした日本の歴史的動態を描きつつ、日本の群島文明を形成する東アジアの哲学を「通底哲学」として世界哲学の中に置き直し、より深い文明論として展開する。日本の知の歴史を総合的に理解する、著者独自の日本思想大全。

(出版社紹介文より)

【会員の図書】北島義信『宗教と非暴力平和構築』(あけび書房、2025.4)

タイトル:『宗教と非暴力平和構築』
刊行日 :2025.4.5
著 者 :北島義信
ページ :280
出版社 :あけび書房
ISBN :978-4-87154-283-8

内容紹介

ウクライナ、パレスチナ・ガザ、ミャンマー……戦争が終わらない。

 商売の取引に使ったり、引越しをすすめて一大リゾート地にする計画をちらつかせる。アメリカ・トランプがそうなら、プーチン、習近平はミャンマーのクーデター軍政権を支援してやまない。
 どこを探しても、平和はない。倫理も法も、正義もない。
 まったく絶望である。
 しかし、と私に働きかけてくる声がある。
 〝それでいいのか?〟
 宗教ではこれを、〈霊性のはたらき〉という。待っていて与えられるものではなく、求めて獲得し、ことに立ち向かう力としてのそれ。「内心からの自主性を持った精神的推進力」である。
 インド独立をすすめたガンジーも、アメリカ黒人の解放を訴え続けたアーサーキングも、アパルトヘイトに抗したネルソン・マンデラも、近くは突発的な厳戒令の発動にペンライトを光らせて立ちはだかった韓国民衆も、やむにやまれぬ心の動きを非暴力・不服従に託して行動した。
 懐疑は批判の前提、批判は確信の通路(アラゴン)であるなら、〝これでいいのか〟のひと言は彼らを素晴らしい未来へと導いたと言えないか。宗教はもはや祈りの代名詞ではない。「戦争の時代」における徹底した抵抗と平和構築の思想と論理――他者優先、相互、共生、和解――である。
 宗教がどこまで可能なのかを問う類を見ない一書。

(出版社紹介文より)

【会員の図書】髙城建人『韓国黎明期の民主政治への試み:大統領制と議院内閣制の攻防』(明石書店、2025.3)

タイトル:韓国黎明期の民主政治への試み:大統領制と議院内閣制の攻防
刊行日 :2025.3.21
著 者 :髙城建人
ページ :264
出版社 :明石書店
ISBN :978-4-7503-5896-3

内容紹介

韓国の初代大統領・李承晩は、果たして独裁者であったのか。その素顔や政権運営については、これまであまり注視されることはなかった。李承晩政権と野党政治家らの「民主主義」を巡る思想・制度的対立を1次資料の緻密な読解を通じて、韓国の民主政治に迫る。

(出版社紹介文より)

【会員の図書】小島康敬校注『志学幼弁』(北海道大学出版会、2024.12)

タイトル:『志学幼弁』
刊行日 :2024.12.20
著 者 :小島康敬
ページ :410
出版社 :北海道大学出版会
ISBN :978-4-8329-6901-8

●本書の特徴
江戸中期弘前藩で宝暦改革を担った乳井貢(にゅうい・みつぎ)。その主著『志学幼弁』を翻刻・校訂し、詳細な注を付す。素行、徂徠、春台に共鳴して実学的観点から朱子学を空論と批判し、更に特異な老荘解釈、時間論等の独自の思想世界を展開。秀吉、赤穂四十七士への糾弾も注目。

(出版社紹介文より)

【会員の図書】小倉紀蔵編著『比較文明学の50人』(筑摩書房、2024.12)

タイトル:『比較文明学の50人』
刊行日 :2024.12.16
著 者 :小倉紀蔵
ページ :294
出版社 :筑摩書房
ISBN :978-4-480-01814-4

内容紹介
比較文明学から見えてくる
日本の独創的な知の豊かな世界
===
古くから、日本の思想や宗教はつねに自己を他者と熱心に比較してきた。そうした知的伝統から、きわめて独創的な比較文明論が数多く産み出されてきた。本書では、本居宣長、岡倉天心、鈴木大拙、賀川豊彦らを経て、現代の梅棹忠夫、伊東俊太郎、石牟礼道子、緒方貞子に至る鋭敏な比較文明的感覚を持っていた日本の50人を選出。比較文明学会に所属する17人の研究者が、日本の比較文明学とはなにかを問いつつ、50人が繰り広げる豊かな知の世界を縦横無尽に論じる。

(出版社紹介文より)

【会員の図書】田中豊『儒学者兆民:「東洋のルソー」再考』(創元社、 2024.12.3)

タイトル:『儒学者兆民:「東洋のルソー」再考』
刊行日 :2024.12.03
著 者 :田中豊
ページ :262
出版社 :創元社
ISBN :978-4-422-20300-3

内容紹介
『民約訳解』が漢文である本当のワケとは?
学者ですら躊躇なく使う中江兆民の代名詞「東洋のルソー」。その由来ともなった『社会契約論』の翻訳『民約訳解』は、なぜ漢文で書かれていたのか。また、その翻訳に込められた兆民の意図とは何だったのか。『民約訳解』を単なる翻訳書ではなく、兆民の思想書として詳細に再検討することで、兆民がルソーを介して、在来思想としての儒教に回帰し、それを刷新しようとした「儒学者」であったことを鮮明にする、画期的な思想史研究。

(出版社紹介文より)