ご挨拶

・「地域」からの実学を!

 わくや万葉の 里・黄金山神社にて

「地域」とは、五感と五感で触れあえる時空間のこと。生まれ育った土地や、今住んでいる場所だけの意味ではありません。広島で生まれ、ソウルに暮らし、東北で働いている、あるいはサハリンに生まれ、京都で学び、北京へ留学しているといった経歴は、特殊なものではなくなりました。

「地域」とは遍在し、また伸縮自由、組み換え自在な<生の現場>です。固定した地域に閉じこもるローカリズムでも、画一化した風景ばかりのグローバリズムでも、また両者を短絡させただけの硬直的グローカリズムでもありません。

2020年4月現在、世界はパンデミックの危機に襲われています。感染症の爆発的な流行拡大は、病原体だけの問題ではありません。地球上の生命(遺伝子、ゲノム)の多様性を失わせている人間・社会の問題でもあります。


日本東アジア実学研究会はこれまで、主に17~19世紀の東アジアの実学を中心に、他の地域、他の時代の実学思想も参照して、21世紀のあるべき学問をつくりあげていくことを目的として研究してきました(会則第二条)。

越境的な課題がつぎつぎと到来する今日、わたしたちの<生の現場>である「地域」から、地球上のすべての生命と自然の響きあう新たな「実学」ネットを、みなさんとご一緒につくっていきたいと思います。

2020年4月11日
日本東アジア実学研究会代表 片岡龍