第16回東アジア実学国際学術会議 (2022年12月15日~17日/韓国)

第16回東アジア実学国際学術会議

―磻溪 柳馨遠 生誕400周年記念―
危機の時代、実学を再考す

■ 概要

○日時:2022. 12. 15.(木) ~17.(土)
○場所:高麗大学校大講堂アジュホール、ソノベル辺山、磻渓遺跡地
○主催:韓国実学学会、扶安郡
○主管:高麗大学校漢字漢文研究所
○後援:文化体育観光部、全羅北道、韓国学湖南振興院、
    全北学研究センター、京畿文化財団実学博物館、高麗大学校

■趣旨文

「危機の時代、実学を再考す」

 16~17世紀の東アジアは、国家間の戦争、自国内の政権交代、明清交替による国際秩序の再編、海洋を通じた西欧勢力の進入、気候変動による大飢饉など、東アジア文明圏を根底から揺るがした文明史的危機を経験せねばならなかった。こうした国家的・文明圏的危機の時期を迎え、日中韓三国の多くの知識人は当面の危機局面を乗り越えるために多岐にわたる学問的模索を繰り返す。こうした模索の結果は体制の矛盾を批判するものとなり、社会の変革を図るいわゆる「実学的思惟」の形成と展開に帰結した。

 我々は現在、第4次産業革命という文明転換や、予告無く訪れた新型コロナ(COVID-19)パンデミックによる生活様式の転換など、前例のない変化と危機の時代を生きている。こうした環境変化に加え、国家間の領土紛争、歴史認識の対立、経済的摩擦など、東アジアの政治的・経済的葛藤情勢はこうした危機的局面をより深刻なものにしている。したがって、我々は人文学的思惟を通じた創造的対応策を調え、現在の危機状況を賢明に克服していく必要がある。

 「東アジア実学国際学術会議」は、これまで様々な問題意識と企画テーマのもとに東アジアの各地域で展開した実学のあり方とその意味の探求に尽力してきた。2022年10月に韓国で開催する第16回国際学術会議は、17世紀の朝鮮の実学者、柳馨遠(ユ・ヒョンウォン、号は磻溪、1622~1673)の生誕400周年を迎え、「危機の時代、実学を再考す」をテーマとしたい。具体的には、当時の東アジア経世学における柳馨遠の『磻溪隨錄』の位相や、17世紀より現在に至るまでの各時代の危機を乗り越えようとした東アジアの知識人の役割、そして東アジア学術共同体が過去・現在・未来の各時代において如何なる役割を果たし、如何に活躍しているのか、これらについて日中韓の学者が一堂に会して議論できる場を設けられればと思う。この度の国際学術会議は、前近代において危機の時代に対応してきた東アジア各地域の歴史的経験を省察し共有する一方、これを現在の危機に照らし合わせることで、危機対応の学問としての実学を再考する契機になればと期待する。

プログラム

■写真


高麗大学校での学術会議(1日目)


高麗大学校での学術会議の集合写真(1日目)


全羅北道扶安郡の邊山での
三カ国の会長による集談会(2日目)


邊山での学術大会の集合写真(2日目)


蟠渓・柳馨遠の遺跡碑(3日目)


蟠渓・柳馨遠の史跡エクスカーション(3日目)

■参考資料

第16回東亞細亞実学国際学術会議プログラム
第16回東アジア実学国際学術会議趣旨文

【フォーラム】第15回<東アジア実学>国際フォーラム(@東北大学)

第15回<東アジア実学>国際フォーラム
The 15th International Forum on‘True and Real Learning of East Asia’

「近代の暴走と実心実学」

日時:2019年12月21日(土)~22日(日)
会場:東北大学川内南キャンパス文科系総合講義棟 
主催:東北大学大学院文学研究科日本思想史研究室
共催:日本東アジア実学研究会・韓国実学学会・中国実学研究会・東北韓国学フォーラム

趣旨文

「近代」とは、古い既知の世界から新しい未知の世界へ踏み入ろうとする知識・感情・意志をもった時代である。そこにはつねにリスクと機会が伴っている。「暴走」とは、制御不可能性が高まるという意味である。したがって、暴走する「近代」とは、リスクを克服し、機会を活用するための科学(「実学」true and real learning)の有効性が低下した時代と言える。あるいは、近代の科学技術(「実用実学」real learning)自体が「暴走」し始めているとも言える。

「近代の暴走」概念は、世界が崩壊していく実感に支えられている。とりわけ、人間的構え・配慮・叡智を養うべき学問・教育の劣化が著しい。主題に「実心実学」(true learning)を並置した理由である。「実心」とは主体の環境への尊厳ある向き合い方を示す。「実心」は個人の内面のあり方にとどまらない。それは、個人を超えた生命への畏敬でもある。「実心実学」は、「科学をしてすべての生命に奉仕する手立てとなさしめ」る(山尾三省)ことを志向する。

 世界の崩壊に対し、装置や制度を取り替えるだけでは、まさに‘焼け石に水’である。「見たいと思う世界の変化に、自らならなければならない(Be the change you wish to see in the world)」(ガンディー)。「実心実学」は「実用実学」の自己変容の姿である。

「近代の暴走」概念は、近代自体の再定位も前提としている。近代は必ずしも、チキンゲームのように破局に直進していく欧米的近代とその亜流だけではない。かといって、農本主義、身分制社会、男中心主義などに後戻りするのでも、決してない。「実心実学」的近代とは何か?それはいつ始まり、どのように派生し、どこに旋回していくのか?その主体と社会編成の特質は?・・・。跨境や遷移という観点から、「近代」と「実学」の時空間を根本的に捉え直す。

 以上の問題意識にもとづき、「実心実学」の過去・現在・未来について、真摯な対話を交わし、一定の合意にもとづく共同声明の発信を、本会議の最終目標としたい。

■ポスター
開催要項

会議名:第15回<東アジア実学>国際フォーラム
The 15th International Forum on‘True and Real Learning of East Asia’
総合主題:「近代の暴走と実心実学」
日時:2019年12月21日(土)~22日(日)
会場:東北大学川内南キャンパス文科系総合講義棟 
主催:東北大学大学院文学研究科日本思想史研究室
共催:日本東アジア実学研究会・韓国実学学会・中国実学研究会・東北韓国学フォーラム

■プログラム

第15回実学国際フォーラムプログラム表1
第15回実学国際フォーラムプログラム表2

・プログラム(日本語):PDF
・報告論文資料についてはこちらのページをご覧ください。

■写真
第15回<東アジア実学>国際フォーラム 集合写真

【フォーラム】2018年度二国間交流事業・国際学術大会(@東北大学)

2018 年度二国間交流事業・国際学術大会

「東アジアで共感できる新たな<近代性>概念の構築」

日時  :12 月 24 日(月、祝日)~25 日(火)
会場  :東北大学川内南キャンパス 文科系総合講義棟
主催  :東北大学日本思想史研究室
共同主幹:円光大学校宗教問題研究所、日本東アジア実学研究会

■プログラム


プログラム(日本語):PDF
プログラム(韓国語):PDF

■関連資料

 本学術大会の関連論文は2018年度『〈霊性〉と〈平和〉』第4号に掲載されております。詳しくは東アジア〈霊性〉・〈平和〉研究会 論文公開ページをご覧ください。

■写真
学術大会1日目 開会辞・趣旨説明(片岡龍)
2日目懇親会(郷土料理「心平」にて)
4日目 八戸 安藤昌益資料館見学(資料館 館長・三浦忠司さん)

【フォーラム】2017年度二国間交流事業・国際学術大会(@韓国 圓光大学校)

円光大学校宗教問題研究所50 年記念学術大会

「日韓伝統思想の近代化過程と
批判的省察」

日時  :2017年10月20日(金)~21日(土)
場所  :圓光大学校 崇山記念館 2 階 1 セミナー室
主催  :圓光大学校宗教問題研究所
共同主幹:圓光大学校宗教問題研究所、東北大学日本思想史研究室 、
     日本東アジア実学研究会

■プログラム


プログラム(日本語):PDF

■関連資料

 本学術大会の関連論文は2017年度『〈霊性〉と〈平和〉』第3号に掲載されております。詳しくは東アジア〈霊性〉・〈平和〉研究会 論文公開ページをご覧ください。

■写真
基調講演:板垣雄三 「〈伝統と近代〉を問い直す saty ā graha(真理把握—病める欧米的 modernityの末路に際して」
報告:片岡龍「日本と韓国における「実学」の近代化」
第12回 東学農民軍の歴史を訪ねる旅 2017 集合写真(金堤市 院坪執綱所にて)

【フォーラム】「科学技術時代における新たな死生観・倫理的実践主体の創出をめぐる世代間対話」

「科学技術時代における新たな死生観・倫理的実践主体の創出をめぐる世代間対話」

■趣旨

 本フォーラムは、科学技術時代の新たな死生観・倫理的実践主体の創出をテーマに、日本と韓国にかかわるさまざまな現場からの参加者が、フォーラム、セミナー、シンポジウム、ワークショップなどの形式で、専門横断的に対話し、日韓のあいだから新たな学際領域・社会実践を共創することを目的としてい

 新たな死生観・倫理的実践とは、軍事化・テロ・災害・難民化・ヘイトクライムなどの常態化する現代世界の状況に対し、生命の非孤立化・非序列化が最重要の価値であるとの認識にもとづくものである。 日韓の人文社会的資源を、科学技術時代の今日的課題にたいする現場の声とつきあわせ再活性し、あわせて地域・多文化共生という観点から社会実践に活用しえる指導的人材の養成もめざしている。

■各日テーマ

9月17日「難民化・ヘイトクライムから生命の非孤立化、非序列化へ」
9月18日「科学技術時代の倫理的実践としての<実心実学>」 
9月19日「東北発の新たなリーダーシップ像を、日韓の歴史と未来から考える」 

会場:17日‐東北学院大学土樋キャンパス 8号館3F 第3、第4会議室
 18・19日‐東北大学川内南キャンパス 文科系総合講義棟1F 105

共催:東北学院大学地域共生推進機構
   日本東アジア実学研究会 
   未来共創新聞
   東北大学日本思想史研究室

後援:駐仙台大韓民国総領事館
   東北大学グローバル安全学トップリーダー養成プログラム

■プログラム




プログラム(日本語):PDF

■写真
コメント:小川晴久(東京大学・名誉教授)

【フォーラム】第13回東アジア実学国際学術会議参加(@韓国 城南・南楊州)

第13回東アジア実学国際学術会議

「批判談論としての実学」

日時 :2015年11月27日(金)~28日(土)
会場 :1日目‐韓国学中央研究院(京畿道 城南市)
    2日目‐京畿文化財団 実学博物館(京畿道 南楊州市)
主催 :韓国実学学会、韓国学中央研究院、京畿文化財団 実学博物館
後援 :財団法人 実是学舎

■プログラム



プログラム(日本語):PDF

【フォーラム】第12回東アジア実学国際学術大会(@国際基督教大学)

第12回東アジア実学国際学術大会

東アジア世界の「知」と学問
—伝統の継承と未来への展望—

Knowledge and Learning in East Asia: Bringing Traditions into the Future

日時 :2013年11月23日(土)・24日(日)
会場 :国際基督教大学東ヶ崎潔記念ダイアログハウス2階国際会議室
共催 :国際基督教大学アジア文化研究所・日本東アジア実学研究会
後援 :勉誠出版

■大会説明

 今回の大会はテーマを「東アジア世界の『知』と学問―伝統の 継承と未来への展望―」とした。「学問」「学び」という緩やかな括りで、東アジア世界において「知」の営みがどのように展開されてきたのか、またそれを将来に向けてどのように継承・発展させてゆくかを討議する。東洋における「知」と学びのかたちは、思惟様式から表現形態に至るまで西洋的な「知」のあり方とは本質的に異なる。西洋近代以降の学問知から抜け落ちた東洋の「知」と学びの伝統を再検討し、それを将来世代の人達に向けて発信したい。

(国際基督教大学アジア文化研究所所長 小島康敬)

■プログラム

プログラム(日本語):PDF

■関連資料

 本学術大会の研究成果は『東アジア世界の「知」と学問―伝統の継承と未来への展望(アジア遊学)』(勉誠出版、2014)に収録されております。詳しくは紹介ページをご覧ください。

【フォーラム】第9回東アジア実学国際シンポジウム(@二松学舎大学)

第9回東アジア実学国際シンポジウム

「実心実学思想と国民文化の形成」

日時:2006年10月14日(土)~15日(日)
会場:二松学舎大学中州記念講堂 
主催:日本東アジア実学研究会
   二松学舎大学21世紀COEプログラム「日本漢文学研究の世界的拠点の構築」
協賛:韓国実学研究会、中国実学研究会

■関連資料

⑴『実心実学思想と国民文化の形成』論文集(日本語版)

論文集1 

・小川晴久「実心実学思想と国民文化の形成」開催に際して:PDF

⑵『実心実学思想と国民文化の形成』報告集Ⅱ

 論文集2

・小川晴久「実心実学思想と国民文化の形成」の開催:PDF
・小川晴久「実心実学の提唱—東アジア実学シンポを終えて」(『東京新聞』2006年10月24日夕刊、p8):PDF
・小川晴久「東アジア三国の現代における実学概念について—綜合討論から五カ月が過ぎて—」:PDF

【フォーラム】第6回東アジア実学国際シンポジウム(@福井県芦原町国際会館、2000年11月)

第6回 東アジア実学国際シンポジウム

日時:2000年11月26日~29日
会場:日本 福井県芦原町国際会館
主催:日本東アジア実学研究会

関連資料

■『第6回第6回東アジア実学国際シンポジウム論文集』(日本語版)表紙・目次:PDF
■源了圓「近世日本における「実学」の諸形態と「誠心的経世済民の実学」ー横井小楠を中心として」:PDF