【会員の図書】片岡龍『16世紀後半から19世紀はじめの朝鮮・日本・琉球における〈朱子学〉遷移の諸相』

タイトル:『16世紀後半から19世紀はじめの朝鮮・日本・琉球における
      〈朱子学〉遷移の諸相』
刊行日 :2020年02月
編著者名:片岡龍(著)
出版社 :春風社
装丁  :長田年伸
ISBN : 978-4-861-10681-1

要旨:仁斎にとっての「学問」とは、世界の見え方を刷新させるものである。そして、そのような「学問」の道を開いたのが孔子であった。(本文より)
西洋近代由来の学術概念を超え、時代時代のさまざまな地域の思想家の思想的営為を丹念に読み解き、思想潮流の大きな変化を跡づける。(春風社紹介文より)

■目次

まえがき―書名について―
第1章 序論 朱子学の遷移過程
第2章 李退渓(1501-70)の「心は神明の舎」観
第3章 李退渓の「理発」「理動」「理到」
第4章 退渓門下から旅軒・張顕光(1554-1637)にいたる「公共」
第5章 藤原惺窩(1561-1619)とその周辺の「天道」観
第6章 中江藤樹(1608-48)の「神理」と〈朱子学〉
第7章 伊藤仁斎(1627-1705)における‘心性’と‘経世’
第8章 荻生徂徠(1666-1728)の「天命」説と「修辞」論
第9章 蔡温(1681-1761)における「心学」と「実学」
第10章 大田錦城(1765-1825)と丁茶山(1762-1836)における‘生命’と‘霊性’
第11章 結論
あとがき

【勉強会】第2回安藤昌益読書会(@「そばカフェ風庵」in南三陸町入谷)

■開催要項

勉強会名:第2回安藤昌益読書会(仮称)
日時  :2020年02月20日(木)
会場  :宮城県本吉郡南三陸町入谷「そばカフェ風庵」
テキスト:安藤昌益 稿本『自然真営道』第一 私制字書巻一「自然ノ世ノ論」

※「自然ノ世ノ論」の原文資料閲覧は『自然真営道』を貯蔵している東京大学付属図書館の資料公開ページをご利用ください。

 南三陸で有機農業・療養所・そばカフェを営んでいる方々と小人数読書会を行いました。第2回は安藤昌益(1703~1762)のテキスト「自然ノ世ノ論」をそれぞれ独自の皮膚感覚で超訳し、話し合うという会でした。以下に読書会に参加されていた片岡龍先生の超訳を掲載いたします。



安藤昌益「自然ノ世ノ論」超訳

片岡龍

ほんとうの世界について 

ほんとうの世界では、地球の循環とともに人間の営みも行われ、循環する地球とともに相対的な時間(カイロス)だけが流れている。

相対的な時間とは?

ー地球が春になると、万物が生じ、花が咲き、
 地球が夏になると、万物が育ち、緑あふれ、
 地球が秋になれば、万物は堅く、引き締まり、
 地球が冬になれば、万物は枯れ、地下に潜る、
そして、また春となり、夏となり、秋になり、冬になり、春となり・・・・・・
永遠につづく瞬間。

その永遠につづく瞬間のなかで、人間の営みも行われる。いや、そのように営むからこそ、永遠につづく瞬間だけの世界が、見え、聞こえ、匂ってくる。

ー地球が春となる永遠とともに、田畑を耕したくさんの種子を播き、
 地球が夏となる永遠とともに、雑草を抜きたくさんの穀類を育み、
 地球が秋になる永遠とともに、たくさんの穀類を実らせ刈り取り、
 地球が冬になる永遠とともに、殻を落とした実を貯蔵し食い次ぐ、
そして、また春、夏、秋、冬、春・・・・・・始まりも終わりもない、永遠の世界。地球と人間のいのちが無限に響き合う、ほんとうの世界。

地球も自分のいのちを生きている。人間も自分のいのちを生きている。
だから、いのちといのちが響き合うほんとうの世界は、曇らない五感を通して現れる。

人間の生死は、穀類が実って枯れ、枯れて実るのと同じサイクル。
生まれれば人間(男女)、死ねば地球(転定)、生まれれば地球、死ねば人間・・・・・・

一つの大きないのち、その中で往還を繰り返す、無数の小さないのちの群れ。
それが、ほんとうの世界の、変わることない、いのちの河。

 2019年秋、青森県立美術館の展覧会(「青森EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来」)で、大小島真木+アグロス・アートプロジェクト《明日の収穫》と一緒に壁面を飾った安藤昌益「自然の世の論」<撮影:奥脇嵩大 提供:青森県立美術館>

 

【会員の図書】韓亨祚『朝鮮儒学の巨匠たち』

タイトル:『朝鮮儒学の巨匠たち』
原題  :『조선 유학의 거장들』
刊行日 :2016年06月
編著者名:韓亨祚(著)・片岡龍(監・解説)・朴福美(訳)
出版社 :春風社
装丁  :桂川潤
ISBN : 978-4-861-10500-5

要旨:21世紀を生きるための儒教の根源を求めて
儒学の本質を「生の技術」=「精神の偉大な作品(=人間)に関わる熟練した技術」ととらえる著者が、中国、日本の儒学と通底しつつ独自の発展を遂げた朝鮮儒学を、その巨匠たちの思想を辿りながら跡づける。(春風社紹介文より)

■目次

日本語版への序言
はじめに
16世紀 百花の庭園

1章 1554年 金剛山、若き栗谷とある老僧との対話
2章 退渓の『聖学十図』、朱子学の設計図
3章 南冥・曺植、刀を帯びた儒学者
17世紀 哲学的な激突とその深まり
4章 人物性同異論の論点と解き方
18世紀 上からの改革論
5章 君師正祖、再び朱子学を高く歌う
6章 朱子学と茶山、そして西学が分かれる所
7章 実学、或いはゆらぐ理学の城砦
19世紀 道学の守護者たち

8章 韓末の儒学の選択、抵抗または隠遁
20世紀 地球共同体に向かう夢
9章 恵岡・崔漢綺の気学
解説 朝鮮儒学の現代的意義
付録1 室名別号索引
付録2 人物生没年
付録3 朝鮮王朝歴代王一覧表
付録4 思想用語解説
付録5 成語出典表
本文索引

【会員の図書】柳生真, 片岡龍ほか『東アジアから世界へ : 共に学びあう山田方谷・譚嗣同 ・崔漢綺』

タイトル:『東アジアから世界へ : 共に学びあう山田方谷・譚嗣同 ・崔漢綺』
刊行日 :2012年06月
編著者名:柳生真 (著), 片岡龍 (著) ほか
シリーズ:樹福新書 ; 0-3
出版社 :樹福書院
ISBN : 978-4-896-19937-6