【会員の図書】朴奎泰『ハンともののあはれ』(而學社、2024.3)

タイトル:『ハンともののあはれ(한과 모노노아와레 :한일 미의식 산책)』 ※販売サイト
刊行日 :2024.3.15
編 著 :朴奎泰
ページ :786
出版社 :而學社
ISBN :978-8-96147-442-9

内容紹介

・「ハン」はどのように韓国の美意識として位置づけられたのか?
・日本人はなぜ作為的な美を、自然よりもっと自然だと考えるのか?
・さあ、日韓美意識の散策路へと足を踏み入れよう

 美には両面性がある。自然な美があるかと思えば、作為的な美もある。韓国人にとって自然は、古くから日常の中に溶け込み、日常と一体となっていた。例えば伝統的な韓屋では、内と外の境界が明確ではない。床の間はそのまま庭へと繋がり、部屋の中でも扉開さえ開ければ、低い垣根の向こうに外の山野がそのまま見渡せる。自由奔放でシンプルな粉青沙器の文様、あるいは非対称にひずみんだ平凡な白磁の壺の形態は、最初から人工的な完成の美学とは無関係に見える。
 一方、日本人は常に自然のままの美を愛すると言いながらも、石と砂で水を表現する石庭から大自然を想像することを好む。日本の茶人は茶器の取っ手一つをわざと外し、そこに侘び(不完全なものに美を見出そうとする美意識)の美を鑑賞し、日本の陶工たちは日本的な陶磁器を創出するために意図的に器を歪んだ形で作り出す。こうした人工的な努力は強迫的に極めて繊細に行われる。手を加えて整え加工したものを、より自然な美と考えるのである。なぜだろうか?これが本書の最も核心的な問いの一つである。何を自然と見なすかの違いこそが、日韓の美意識における最大の差異を構成しているのだ。

(本文より)